活版印刷
グラフィックデザイナーの澤辺由記子さん、写真プリンターの久保元幸さん、写真研究者の小林美香さんと、活版印刷の現場(内外文字印刷株式会社)を訪れました。私は印刷の専門家ではありませんが、活字を組んで印刷する活版印刷は近代的な印刷の最初のもので、それから写植、オフセット、そして電子書籍・・・と進んできたのではないかと思われます。
内外文字印刷さんの向い側にはかつて国語研究所があったといい、小林敬さんのお話を聴いていると活字の歴史は国語の歴史と重なっているようにも思えてきます。明治以降、活字を制作することは文字通りに文字を制作する側面もあったわけで、当用漢字とか常用漢字とか、外字とか、実は色々な字体が制作され、また大手出版社や大手新聞社は公式文字と異なる独自の文字を用い、独自のフォントを使っていたといいます。このあたりの話は大変興味深いと思いました。また文字の印刷を主とした活版印刷というあり方は、さらに言えば「文学」というあり方にも大きく関係しているようにも見えてきます。
欧文だとアルファベットの数は限られていますが、漢字はこんな字を読み書きできる人は世界にいったい何人いるのだろう、という文字もたくさんあるようです。活字を造るあるいはデザインするというのは、繰り返すなら文字を制作するという側面もあるわけです。その後の写植やオフセットそして電子書籍が用いている字体は、当初の物理的な活字が蓄積してきた遺産の上に成立しているとも言えるかもしれません。
その活版印刷ですが、文字のエッジがきわめてシャープで、また今日から見るとなかば工芸品のようにも見えます。時代は直線的に進んでいくというより、電子書籍と活版印刷が実は共存しているのですね。
お邪魔したときはジョセフ・コーネルの展覧会の作品集(実質的に詩集)の校正が行われていました。
ではでは。
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