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2018年10月 1日 (月)

サスキア・サッセン「都市からみるグローバル経済パワーの生態学、環境の持続可能性を高める一つの重要なファクター」寺田篤生訳、『都市の再生を考える8』、岩波書店、2005

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メモ

「市場はこのような限界にもかかわらず、今日でも予測できる将来にても、経済活動を接合し、経済的価値を構成するための主要な制度的原動力である。したがって重要なのは市場ができることできないこととは何であるかを知ることであり、さらに記録できることできないこと、とりわけ都市経済が市場を中心にまわりはじめて以降について知ることである。目下の対策となる目的にもっとも有効な分析は、ウィリアム・リースによる古典的な研究である。

 リースは、新古典派経済学に基づく経済パラダイムと、エコロジー経済学に基づく定常態パラダイムを比較する。新古典派経済学の重要な特徴は、経済を、自然から切り離され、自然から独立したものとして扱うことである。」、「それに対し、エコロジー経済学は、経済を「人間の新陳代謝の拡張」として分析すべき、生態圏の依存統合サブシステムとして捉えている。持続可能性に不可欠なのは、経済と生態系をつなぐ身体的/物質的交換を理解すること、そして生態系の基本的な機能を理解し、生態系の動きを特徴付ける時間的な遅滞と閾値を認識することである」(p11-12)。

「持続可能性をめぐる論争のなかで新古典派の環境経済学者が果たしたもっとも重要な貢献の一つとは、主流の新古典派経済学者とは違い、天然資源を単に自然からカダでもらえる財ととして扱うことから、「資源」とは生産資本のなかでも唯一無比な類型を構成するもの、すなわち、所得というものを未来に向けていつまでも流し続けることを可能にするものであるという考え方へと転換させていったことである。これにより、いわゆる自然資本を人工の資本や人的-社会的資本(知識、社会インフラなど)のようなおなじみのものと同じ理論的地位へとたかめることにより、これまで以上の分析的な分析的な正確さを可能にする。もし発展の道が生産財の減耗に左右されるならば、それは持続可能ではない、という一般的な合意をここちに暗示することになる」(p16)

「海外直接投資やグローバル金融にみられる経験的なパターンをみると、その重心が北太平洋地域にあることがわかる。北太平洋を横断する経済システム(特に欧州連合、アメリカ、カナダ間の結びつき)は、今日の世界における経済的グローバリゼーションのプロセスが主にこの地域に集中して現れていることを示している。このことは、一般的に海外直接投資のフロー、特に国境横断的な企業の合併吸収や、全般的な金融のフローをみても、あるいは金融センター間の新しい戦略的な同盟をみてもあてはまる。二一世紀初頭の終わりまでに、この地域は、世界中の株式投資市場の三分の二、国内海外株式投資の六〇%、対外株式投資の七六%、企業の合併吸収(M&As)による世界規模の売上の六〇%、およびその買上の八〇%を占めている。

 グローバル経済には、日本、東南アジア、ラテンアメリカといった、他の主要地域も存在している。中国は急速に経済成長を遂げているし、日本は依然として非常に裕福な国である。しかしこれらの地域のいずれもが、現時点における北大西洋の経済やその調整的パワーに追いついていない」(p22)

「都市は、環境に適した政策を広範囲にわたって実施する上で重要なスケールであり、さまざまな階層が環境基準や生活の質をめぐって争う現場である。大気、騒音、水質汚染は、関連する政策が国家レベルやリージョナルレベルに由来する場合でさえ、その多くの部分は都市の内部で対処することふができる」、「さまざまな目標の多くは、ローカルなレベルで達成することができる。地方自治体は、持続可能な発展という目標を追求する上で、サービスの直接的あるいは間接的な提供者として、または規制する側、リーダー、パートナーとして、あるいはコミュニティの資源を動員する側として強い地位にある」(p29)

わたしの都市とグローバリゼーションのの研究ではその代わりに、都市を、多様で高度に専門特化した国境横断的な経済回路が循環する多重スケールシステムとして概念化している」(P35)

「都市は、消費および浪費-生産の地理学のなかの複雑なシステムである。そしてこういった複雑性のゆえにまた、都市は解決策を生み出す上で必要不可欠なものなのである」、「都市は、都市で具体的に例示されるものと、そして都市で機能する政策枠組みのさまざまなレベルという二重の意味で、多重スケールシステムである」(p40)。

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